今をさかのぼること…うわぁ。もう10年前だ！　きらめきマンよりずっと前。タイムボカンシリーズが復活していました。OVA（オリジナルビデオアニメーション）「タイムボカン　王道復古」（全２巻）です。主なストーリーは、第一巻で歴代の三悪たちがメカレースを行って、そのレースの優勝チームが第二巻で主役をはれる、というものでした。
　このOVAの第一巻の発売前に、面白いキャンペーンが行われました。第一巻の内容はオール三悪のカーレースですから、ファンの人にどの三悪が優勝するかを賭けてもらうんです。賞品はテレフォンカード。ぼくは見事（？）的中させたんで、家にこのテレカが眠っています。
　…と、テレカの話はどうでも良くて、そのキャンペーンの一環で発売されたCDに、「悪玉馬券塾」というのがありました。中身はレースの勝敗予想を絡めた話で、三悪たちが悪巧みをしたり失敗したり…といういつもながらのドタバタを描いたドラマと、「アルバム未発表怨念テイク集」と題した、ショートソングでした。
　「アルバム未発表…」の中には後に「ザ・短編」に収録される「やられたやったくやしいな」（ザ・短編ではカタカナ表記だが、悪玉馬券塾ではひらがな表記）や、当時のCMを意識したであろう「人間やめます」なんかが入ってるんですが、そのブックレットの歌詞カードの部分。ここに幻の曲が隠されていました。

　歌詞カードのページというのは、そのCDに収録されている曲の歌詞が書いてあるものです。例えばこの「悪玉馬券塾」だと、
・「３×７＝大予想」
・「人間やめます」
・「アターシャ」
・「やられちゃったくやしいな」
・「大巨神賛歌」
なんて曲の歌詞が書いてあるんですが、さらにもう一曲。「逆転イッパツマン」というのが書いてあるんです。で、歌詞を読んでみるとぼくらの知っているあのイッパツマンの歌とはちょっと違う。
「SKY　SKY　光るライナー
　TRY　TRY　燃えるイッパツ…」
なんていう歌いだしみたいです。よくみると、「第二稿」と書いてある。その横には「初稿」ヴァージョンの歌詞も書いてある。でもこの曲、CDには収録されていないんです。一体なんなんだ？

　そんな疑問が解決されるチャンスに恵まれました。当時大盛況だった、アニメの試写会イベントです。このOVA「タイムボカン王道復古」でも試写会だったか、予告編の上映だけだったか忘れましたが、そんなイベントがありました。
　このイベント、何ていっても参加者がすごい。我らが山本正之はもちろんですが、小原乃梨子、八奈見乗児、たてかべ和也。当然といえば当然のメンバーなんですが、ぼくは、この人たちの顔を直接見たのは、このイベントが最初で最後です。正之先生を除く三悪のお三方も、「みなさんの前に出てくるのなんて恥ずかしい」とおっしゃってました。
　話がずれましたが、そのイベントの中で山本正之ライヴがありました。
「今日は”悪役ドアが開く”（このOVAの主題歌）のオケで、”オマタセマン”を歌ってあげよう！」
と、サービスなのかサービスじゃないのか分からないサービスを盛り込んだ曲から始まって、CDに収録されている曲がいくつか歌われたと思います。
　そこで出た話によると、ドラマが（三悪の方々のアドリブのおかげで）予定より長くなってしまって、CDの尺があわなくなってしまったため、決定稿と同じメロディラインや歌詞が（当然ですが）ふんだんに使われている、このイッパツマンの初稿、第二稿は、録音もミキシングもしてあったんですが、収録するのはやめよう、ということになったんだそうです。そのとき、ジャケットの方の印刷は変更が間に合ったんですが、ブックレットの方は差し替えが間に合わずに、収録されていない曲の歌詞が載っているものになってしまったんだそうです。

　聞いてみれば分からないでもない話ですが、うーん。ちょっと惜しい気も…。なんて思っていたら、当日、そのイベントで初稿、第二稿の２曲を披露してくださいました。
　…が、なんとぼく、いまいち覚えていない…。だって、なんとなーく（というかかなり）似ている曲が、頭の中に完全にインプットされている状態で、それとちょっと違った曲を覚えるのって、全く知らない曲を覚えるよりも難しくないですか？
　この曲、いつかリクエストショーでリクエストしてやるんだ…と、ぼくは野望を心に秘めているのです。

　なお、「タイムボカン　王道復古」は現在、DVD版が販売されています。DVD版は１枚に２話とも収録されている親切さ。興味のある方はご覧ください。
　あ。もちろん、「幻の曲」は収録されていませんけど。