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山本正之と甲本ヒロト
 
 

 正之先生のアルバムにコーラス等で参加している「ヒロトくん」とか「甲本浩人」とかは、元ブルーハーツで、現ハイロウズのボーカルを務める甲本ヒロト氏。
 正之ファンの人にとって甲本ヒロト(以下ヒロト)というのは(メジャーなバンドの人だし)普通に知っているミュージシャンなんですが、ブルハ(ブルーハーツ)ファンとか、ハイロウズファンにとっては、
山本正之って誰だよ?!
って感じらしいですね。まぁ確かに、ヒロトとかマーシーを追っかけちゃう人が、山本正之を聴かなくても不思議はない…。ヒロトと正之先生のことを調べなおすときに、たくさんのブルハ、ハイロウズのファンサイトから情報をいただきました。

 正之先生とヒロトの縁は、当時放映していたテレビアニメ「逆転イッパツマン」の収録スタジオに、「パンクロッカーのような格好」(実際そのあとヒロトは、ブルハでパンクっぽいものをやるが…)をした二人組が、正之先生にサインをもらいに来たことに始まっています。そのおかしな格好をした二人組というのは、他でもないヒロトと、その後長きに渡って正之先生の編曲を手がけたり、ライヴでシンセサイザーを演奏したりする、亀山哲彦氏。元をたどればミュージシャンとファンの関係だったんですね。
「すいません。山本正之さんですか?」
「そうですよ」
神保正明さんじゃないですよね?
「違いますよ」
「うわー。やっぱり同一人物じゃなかったんだー」
なんていう会話をしたと聞いています。ぼくはあまりよく知らないんですが、神保さんと同一人物説ってのがあったんでしょうかねえ?確かに一緒にタイムボカンシリーズのBGMとかを作ってましたけど…。

 その出で立ちに非常にびっくりした正之先生だったんですが、格好に反して感じの良いヒロト青年(ラジオとかでもとても礼儀正しいですよね。ヒロトって)たちと話し込んで、ヒロト青年たちが自分たちで音楽をやっていることを聞き、後に彼らのライヴに行ってみたりしたんだそうです。
 イッパツマンの放映が1982年で、ヒロト、山川のりお、亀ちゃんたちがザ・コーツというバンドを結成したのがその近辺に重なるので、おそらくザ・コーツのライヴに行ったんでしょう。そこでヒロトたちの才能を認め、一緒にご飯を食べに行ったりしたそうです。正之先生は言ってなかったですけど、当時メジャーデビューもしていないし、スキンヘッドでたこ焼きを焼いていたりしたヒロトがお金を持っているはずもなく、すでにボカンシリーズで印税生活を送っている正之先生とが食事に行ったら、正之先生がご馳走してたんでしょう。
 正之先生が、ザ・コーツに対して楽曲の提供も行っています。「才能の宝庫」に収録されている「セッション」という楽曲がそれです。もちろんこのCDは山本正之のCDなので正之先生が歌っていますが、編曲、コーラス等はザ・コーツが担当してます。

 その後、ヒロトは真島昌利らとブルーハーツを結成し、メジャーデビュー。さらに「情熱の薔薇」「リンダ・リンダ」「トレイン・トレイン」などの大ヒットを記録します。最近、「人にやさしく」「夢」なんかが再ヒットしてましたね。
 今でも彼らは、機会があれば食事に行ったり、電話をしたりと、お友達ぶりを発揮しているようです。
 ブルーハーツを解散して新たにハイロウズを結成したときに、その報告のためにヒロトが正之先生にかけた電話では、
「あぁ、バント名を変えるの?
「いや、変えるんじゃなくて、新しく結成するんですよ。」
「でも、前と一緒(のメンバー)なんでしょ?」
「いやいや、今回はコンセプトも違いまして…」
と、世間の意見を代表するようなメッセージをヒロトに送っていたそうです。マーシーとヒロト以外のメンバーは、ブルハと違ってるんですけどね…。


 正之先生とヒロトの関係は、ライヴ盤「あああがらがらどんどんどん」のMCでも少し語られています。ヒロトのメキシコ土産で、猫用の小さなプロレスのマスクをもらった話をしているだけですが。
 また、ヒロトヴォーカル版の「セッション」は、アルバム「蔵出 山本正之大全集」で聴くことができます。

 …しかし、今回のエッセイは、いったいどっちのファンに向けて書いたものやら…。もちろん、正之ファン向けのつもりではあったんですけどね。

- 2002.09.17 -

 
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