ななしがファンになって、初めて買った「New」アルバムがこれ。すでに発売されていたアルバムはすべて買い揃えて、
「もっと他の山本正之も聴いてみたい!」
と思っていたところに新譜発売予定表にある「山本正之」の文字を見つけて、発売日をウキウキしながら待っていたのを覚えています。
ジャケットイラストは山本先生ご本人。「夏木立」という曲が、ホントにさわやかな楽曲で、このアルバムを買った当時、ずいぶんとこの曲を繰り返し聞いていました
2002年の「マサユキ前線」で、ニューアルバム購入10周年を記念と自分で決めて、このCDのブックレットにサインを入れていただきました。表紙に大きくサインを入れていただこうと思ったんですが、
「ここは私の作品ですよ。写真は私の作品じゃなくて、カメラマンさんの作品だから、こっちの方が良いでしょう。」
と、ブックレットの背表紙にサインを入れてもらいました。
1:快諾サシアゲマンの歌
何か欲しいけれど、何が欲しいのかわからない。何かしたいけど、何がしたいのかわからない。そういう感情って、きっといろんな人が持っているんです。でも、だからといって何もしないでいたら、当然何も起こらない。
「世の中がつまんない そんなこと誰にも話すなよ」
この歌いだしに、この曲のメッセージは集約されてるんだと思います。
2:大嘘忠臣蔵
「浅野内匠守はオタクだった」という、ある意味衝撃的な歌い出しで始まる、歴史シリーズの名作。「シリーズ最高傑作」の評価をつける人も多い、秀逸な一曲です。
3:シチリア島マフィアの美少女
美少女シリーズの「ハカセ」と「カワセくん」は流れ流されシチリア島に。毎度のことながら、この二人はどうやって目的地を決めてるんでしょう? あ。いや、今回は漂流か。
間奏中の台詞は、劇団山本正之プレゼンツの川上とも子さん。声優デビューをしてからはやっていない(と思う)、力強い口調の台詞です。まぁ言ってることは
「ぺすかとーれー ばんばんばんばんじりぃーこぉー」
とかですけど…。
4:お化けのクラス会
1フレーズだけの短編ものです。「お化けーのクラス会ー」の合唱の部分では、甲本ヒロトの声が目立ってます。さすが!
5:映画館
正之先生が少年の頃から出逢う映画館の数々。 ところで、ぼくは映画とかに詳しくないんで分からないんですが、「地底のカップで飛んでいくキリスト教」って何の映画のことなんでしょう?あと、「やまもとふじこ」ってのは初代ミス日本の山本富士子さんなんですかね? とまあ、どうでもいい疑問を持ってしまいました。
6:銀座のパキラ
観葉植物パキラが、やさしいメロディに厳しい歌詞を乗せて、世の(?)不満を代弁しながら移動しつづけます。
「次がないように」と歌われていますが、「パキラ」は後にシリーズ化され、東海道を下り、ニューヨークにすら旅立ってしまいます。
7:夏木立
とても爽やかな曲。そこまで暑くない夏の日、心地よい夏風に吹かれながら並木道を自転車に乗ってる感じ…がするのはきっとぼくだけで、歌詞を読むと、もう少し違った情景が浮かんできます。
夏の暑さにうんざりしっぱなしの人は、なかなか沸いてこない感覚ですね。
8:BLVD.
「BLVD.」とは、Boulevardの略で、「大通り」というような意味。BLVD.沿いのコンドミニアムに優雅に暮らす人の歌みたいですけど、よーく読んでみると、サンフランシスコの地震のニュースを見たとか、りんごを食べて伊勢湾台風のことを思い出したとか、そういう内容じゃあないかなあ?(と、ぼくは解釈しています)
曲調はとても優雅で、おしゃれなニューヨーカーの朝みたいですよ。
9:漂流日記
「漂流」という割に、歌詞を聴くと主人公であるところの男女は「逃亡」しているような印象を受けます。「駆け落ち」も近いかも。
歌詞の中に「未来へ逃げる」という言葉があるんですが、この言葉、なんとなく気になります。「未来」って、大体において希望とか夢とか、プラスの方向の象徴みたいな印象があるじゃないですか。なのに、そこへ「逃げる」んです。そういう意味で使われてるわけではなさそうなんですけど、「時間が解決してくれる…」と何もしないでなあなあで物事を片付けてしまうことへの警鐘みたいなものを感じました。
10:SALABA 子供の海へ
8分を越える長編。ななしの言う"吟遊詩人"山本正之の真骨頂です。
主人公モエギが船に乗ったのは西暦2000年の朝。このCDの作られた1993年から見ると一つの未来の象徴としてあった「2000年」の年号は、今とはなっては過去のものとなってしまったんですね。
アルバムタイトルの「鐘ノネ響キテ」は、この歌の歌詞の一部で、結構終わりの方に出てきます。
11:帰らざる河
「SALABA 子供の海へ」を長編といった後で、それより長い曲が入っているのもなんですが、ぼくの好きな「哲学系」の曲は、そもそもが長いんです。
12:水の国のラブソング
ライヴの最後にアカペラで歌われることもある曲です。アカペラで聴くのも良いんですが、伴奏つきなのもいい。この曲は歌詞のある部分は短編に近いくらい短いですが、インストの部分が結構長いんです。アルバムの最後を、名残惜しんで堪能してください。
2002.08.09
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