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シリーズ連載
MASAと歩くニューヨーク2002ツアー 参加日記
ニューヨークこい物語
(2002年11月12日〜17日 東京・ニューヨーク)
ニューヨークこい物語No.11 「ななし ミュージカルを観る」

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 この日記は、ななしが「MASAと歩くニューヨーク2002ツアー」に参加した際の出来事、想い出を、ななしの視点で記したものです。どちらかとういうとななしの備忘録といった色が強く、ニューヨークツアーの詳細を知りたいとか、山本正之に関するより深い情報が知りたい、という方にはあまり適当でないものかもしれませんが、ご了承ください。
 なお日記は、当日ないしその翌日にメモ帳に手書きしたものをタイピングしなおしたものです。先を読むと情報が訂正されることもありますので、ご注意ください。


2002年11月14日(NewYork)
 夕食を済ませて、中野じゃないブロードウェイへ。今日見るミュージカルは、「42nd Street」。まさに劇場のある、この通りの名前を冠したミュージカルだ。日本でも翻訳版をやっていたりしたらしいので、比較的有名なミュージカルなのかもしれない。ストーリーも分かりやすい、田舎から出てきた女の子が劇団に入って、ミュージカルスターとしての才能を開花させていくサクセスストーリーだ。と、開場前に正之先生が教えてくだすった。
 開場を待っていると、やけに調子の良い風の若い男性が話し掛けてきた。
「みなさん、日本からいらっしゃったんですか?」
とか何とか言っていたような気がする。ちなみに言葉は、日本語だ。しかもこれは、日本語を母国語とする人の発音。異国の地で自分ら以外の日本語。多分、みなさんの頭の中にあった言葉は、きっとぼくと同じ、「何だこいつ?」だったと思う。半ばぽかんとして、半ばいぶかしげに、面白いほど誰も何もしゃべらずに、その男の方を見ていた。
 しばしの間があって、男は何かぶつぶつ言いながらどこかへ行ってしまった。ぼくらが何もしゃべらないから、日本人じゃないと思って立ち去ったのだろうか。個人的には、詐欺かなんかだと思う。異国の地で聞く母国語というのは、きっとそれだけで安心感を与える。そこに漬け込んで、お金なり何なりを奪っていくんじゃなかろうか。もちろん、真実は分からないのだが。

 そんな男の介入は意にも介さず会場へ入る。日本の劇場とはやっぱり何か違う…と、ぼくは日本の劇場もたいして行ったことなかった。ただの思い込みかもしれない。さらに思い込みかもしれないが、ディズニーランドにあるホーンデットマンションというアトラクションで、最初に入る部屋みたいな雰囲気だった。
 指定席された席は1階のホールに向かって右の端の方。比較的前の方で、結構良い席だったんじゃないかと思う。席についてトイレに行ってポップコーン…は買わなかった。しばらくすると開演の合図。客席の照明が落ちて、舞台の幕が上がった。

 すごい。迫力がすごい。オープニングから、タップタップタップの嵐。タップダンス全盛の頃のミュージカルだったそうで、ホント、いたるところにタップダンスが登場した。言葉の全部は分からないが、大まかなストーリーを知っていて動きを見れば、何となく雰囲気は伝わる。
 途中、主人公と劇団の看板女優が舞台上で衝突してしまい、看板女優が怪我をしてしまうシーンがある。二人がぶつかって、これは大事だ、となって、舞台の幕が下りる。舞台のそでから男性が出てきて、
「女優が怪我をしてしまったから、この舞台は後日再演しなおします!」
みたいなことを言って、休憩時間に入る。こういう、劇と現実が微妙につながった構成は面白い。ぼくの好みってだけかもしれないが、うまい具合に劇のノリを保たせながら休憩時間に入れた気がする。
 …とか、ずっと熱中して見ていた風に書いているが、実はこの時(参加者みなさんそうだったんじゃないかと思うんだが)、時差ボケのピークみたいな時間で、眠くて眠くてしょうがなかった。ミュージカルは楽しいのだが、静かなシーンになってくるとすぐに意識が飛んでしまう。そして周りの拍手や笑い声で目を覚まし、悔しい思いをする。この繰り返し。それでもかろうじてラストシーンは起きていて、ストーリーをちゃんと見てもいないのに、感動に似た感情を覚えてしまった。
 そして、幕が下りてからのカーテンコール。今まで以上の迫力で、顔が自然と笑顔になってくる。観客たちがスタンディングオベーションで役者たちを称えている。この迫力も何だかすごい。正之先生に促されてぼくらも立ち上がって拍手を送る。会場と一体になれた気がして、ちょっと嬉しい。
 いつの間にやら興奮していた。いまさらながら眠気が吹き飛んだ。やっぱりブロードウェイのミュージカルってのは、圧倒的に力強いらしい。


 ミュージカルで寝てしまったのはもったいなかったと思います。あの興奮はすごい。また観てみたい。
 というか、NYにはまた行ってみたいと、旅行のパンフを見かけるたびに思います。でも、個人で行くなら、もうちょっと英語を覚えてからですね…。

- 2003.06.29 -

 
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